SDGsは持続可能な社会の実現に向けた国際目標であり、企業活動にも重要な視点となっています。とくに物流業界では、環境配慮や効率化が求められています。本記事では関連する目標や具体的な取り組みについて解説するので、SDGsへの取り組みを行うきっかけとしていただければ幸いです。
物流業界と関連があるSDGsの目標とは
SDGsは17の目標から構成されており、物流業界でも環境負荷の低減や労働環境の改善など、さまざまな面で関係しています。各企業が自社に合った取り組みを行い、持続可能な社会の実現に貢献することが重要です。SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
この目標は、再生可能エネルギーの活用やエネルギーの効率的な利用を推進するものです。物流業界では、輸送に伴うエネルギー消費が多いため、排出ガスの削減や輸送効率の向上、クリーンエネルギーへの転換が求められています。SDGs目標8「働きがいも経済成長も」
すべての人が働きがいをもてる職場づくりを目指す目標です。物流業界では長時間労働や人手不足が課題となっており、労働環境の改善や生産性向上といったホワイト物流への取り組みが重要視されています。SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
インフラ整備や技術革新を通じて、持続可能な産業基盤を構築することを目的としています。物流は社会インフラの一部として重要な役割を担っており、IT化や効率化技術の導入が進められています。SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」
資源の無駄を減らし、持続可能な生産と消費を実現することを目指します。物流業界では、梱包資材の削減や在庫管理の最適化、倉庫での省エネ対策などが具体的な取り組みとして挙げられます。SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」
気候変動の影響を抑えるための対策を進める目標です。物流業界では、CO2排出量の削減やモーダルシフトの推進、水素車両など環境負荷の少ない輸送手段の導入が重要な取り組みとなっています。物流業界のSDGsへの取り組みの支援体制
物流業界では、人手不足や環境負荷など多くの課題が存在しており、それらの解決に向けて国や業界団体による支援体制が整えられています。特にSDGsの達成を意識した取り組みが進められており、法整備や業界全体での連携によって持続可能な物流の実現が図られています。物流総合効率化法の整備
物流総合効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)は、物流の効率化とサステナビリティの向上を目的とした法律です。この法律では、物流業界における業務効率化や環境負荷の軽減を促進するための支援措置が定められています。これまでにも複数回の改正が行われており、直近では2023年度に支援対象事業の拡充が実施されました。
また、物流事業者同士が連携しながら業務の省力化や効率化を進めることで、事業許可の一括取得や設備投資への補助、さらには規制緩和の適用といったメリットを受けることができます。こうした制度は、企業単体ではなく業界全体の生産性向上と労働環境の改善を促すことを目的としています。
ホワイト物流推進運動
ホワイト物流推進運動は、トラック輸送の生産性向上と働きやすい労働環境の実現を目的とした取り組みです。とくに、女性や高齢者を含む多様な人材が働きやすい環境づくりを進めることを重視しています。この運動は国土交通省・経済産業省・農林水産省が連携して推進しており、物流業界における労働環境の改善やドライバー不足の解消を目指しているものです。結果として、安定した人材確保と持続可能な輸送体制の構築につながることが期待されています。
物流業界のSDGsに関する取り組み事例
物流業界では、環境負荷の軽減や資源の有効活用、輸送効率の向上などを目的に、SDGsに関連したさまざまな取り組みが行われています。ここでは、主な事例について紹介します。梱包資材の削減
物流現場では多くの梱包資材が使用されており、その削減や再利用は重要な課題です。とくにプラスチック製の梱包材を見直し、リサイクル性の高い段ボールへ切り替える取り組みが進んでいます。また、折りたたみ可能なオリコン(折り畳みコンテナ)や拠点間で繰り返し使用できる通い箱の活用も広がっており、廃棄物削減と資源循環に貢献しています。
グリーン物流パートナーシップ
グリーン物流パートナーシップは、荷主企業と物流企業が連携し、CO2排出量の削減を目指す取り組みです。輸送時の燃料消費を抑えた効率的な配送や環境負荷の少ない物流体制の構築が推進されています。さらに、省エネ設備の導入や先進的な物流手法に関する情報共有、優良事業者の表彰なども行われており、業界全体でSDGs意識を高める役割を担っています。
モーダルシフト
モーダルシフトとは、従来トラックで行っていた長距離輸送を鉄道や船舶へ切り替える取り組みです。とくに長距離輸送においては、すべてをトラックで運ぶのではなく、一部区間を鉄道や船舶に置き換えることで、CO2排出量の削減や環境負荷の軽減が可能になります。輸送効率を維持しながら地球環境への負担を減らす重要な施策として注目されています。
共同配送
共同配送は、複数の企業が協力して荷物をまとめて輸送する仕組みです。たとえば、複数メーカーの商品を一括で物流センターに集約し、同じ配送先へまとめて配送するケースが代表的です。これにより、個別にトラックを手配する必要がなくなり、輸送の効率化やコスト削減が実現します。また、トラックの稼働台数が減ることでCO2排出量の削減にもつながり、環境に配慮した物流の実現に貢献しています。
物流企業がSDGsに取り組む際のポイント
物流関連企業がSDGsを推進するためには、特定の役員や一部の部署だけが取り組むのではなく、企業全体で共通認識をもつことが重要です。日々の業務の中にSDGsの視点を組み込み、組織全体で継続的に改善していく姿勢が求められます。物流業務の可視化
まず重要なのは、物流業務の流れを見える化することです。業務を可視化することで、どこに無駄や課題があるのかを把握しやすくなり、改善策を具体的に検討できるようになります。さらに、物流をシステム化してデータを蓄積・分析することで、感覚ではなく客観的な数値に基づいた業務改善が可能になります。
業務の標準化
次に、物流業務の標準化も重要なポイントです。業務を標準化することで、特定の人材や拠点に依存しない安定した業務運営が可能になります。効果が確認された改善策については、すべての物流センターへ横展開することで、企業全体としての効率向上や環境改善を実現できます。一方で、個人の経験やスキルに依存した対策は再現性が低く、他拠点では効果が発揮されない可能性もあるため、マニュアル整備や仕組み化が欠かせません。誰が担当しても同じ品質で業務が行える体制づくりが求められます。
社内外のコミュニケーション強化
SDGsの推進には、社内外のコミュニケーションも大きな役割を果たします。社内では情報共有を活発にすることで、SDGsへの取り組み状況や改善内容を全社員が理解でき、働きやすい環境づくりにもつながります。また、社外との連携も重要です。荷主企業や協力会社と密にコミュニケーションを取ることで、単独企業ではなく業界全体でSDGsに取り組む体制を構築できます。共通の目標をもつことで、より効果的な物流改善や環境対策が可能になります。
定期的な効果測定と評価・情報開示
SDGsの取り組みは、明確な目標設定から始まり、定期的な効果測定と評価が欠かせません。たとえば、エネルギー消費量やCO2排出量を数値化し、一定期間ごとにどれだけ削減できたかを確認することで、進捗状況を把握できることでしょう。さらに、評価結果を公表することで、投資家や取引先などのステークホルダーに対して企業の取り組み姿勢を明確に示すことができます。これにより、企業としての信頼性向上にもつながり、持続可能な経営の実現を後押しします。

